キッチンカー(移動販売)で調理をする際に熱源として重宝されているプロパンガス。火力が強く季節を問わず安定した調理ができる一方で、設置方法など、取扱に関して正しい知識が求められます。
そこで今回、キッチンカー(移動販売)でプロパンガスを使うために必要なこととその注意点について、ガス会社への電話取材をもとに記事にまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
※なおLPガスではなく電気で調理したい方はこちらの記事をご覧ください→キッチンカーで電源を確保するには?冷蔵庫はどうする?それぞれメリット・デメリットについて解説
キッチンカー(移動販売)で使うプロパンガス(LPガス)について
プロパンガス(LPガス)とは?
国内で販売されている調理用のガスは、大きく「都市ガス」と「プロパンガス」の2種類あります。
「都市ガス」は、主に都心部の地下を張り巡らされたガス管で各家庭に届けられているので、持ち運びはできません。
一方「プロパンガス」はガスボンベに充填された状態で供給されるため、ボンベごと持ち運びをすることができます。
そのためキッチンカー(移動販売)の熱源として使われているのは「プロパンガス」になります。
プロパンガス(LPガス)のメリット
「プロパンガス」は「都市ガス」に比べて熱量が2.3倍ほど高いため、中華料理や炒めものなど、強い火力を必要とする料理にも適しています。
都市ガス | プロパンガス | |
ガス供給方法 | 地下のガス管 | ボンベ |
持ち運び | 持ち運べない | 持ち運べる |
発熱量(火力) | 11,000kcal/㎥ 火力が弱い | 24,000kcal/㎥ 火力が強い |
またIHクッキングヒーターや電熱調理器などの電気調理器具と比べても、圧倒的な火力により短時間で火を通すことができます。
プロパンガス(LPガス)のデメリット
プロパンガスのデメリットを挙げるなら、ボンベを設置する際に専門業者に依頼する必要があることと、車内のスペースが犠牲になりやすいことです。
また、出店場所によっては稀にガスが使用できない場合があることもデメリットとなりえます。
キッチンカー(移動販売)で使うプロパンガスの購入方法
STEP1 ガス会社から空のボンベを購入する
キッチンカー(移動販売)でプロパンガスを使用する場合、各家庭で使っているようなガス契約とは異なり、使用する分だけガス販売店から購入する形になります。
LPガス会社に電話をして、キッチンカーでプロパンガスを使用したい旨を伝えましょう。
■全国LPガス供給加盟店ネットワーク(ELG株式会社ウェブサイト)
URL:https://www.elg-inc.jp/network/member.php
電話番号:06-6743-2113(9:00~17:45)
※インターネット上で「プロパンガスの新規購入は断られる」という情報が出回っていますが、8/16に時点では、新規購入が可能となっていました。詳細は各自、必ず電話確認いただきますようお願い致します。
STEP2 最寄りの販売店で空のガスボンベに充填してもらう
空のガスボンベを購入したら、次は最寄りのガス販売店に空のガスボンベを持ち込み、充填してもらいましょう。
ここではガスを使った分だけ充填してもらえるので、ガスボンベが空でなくても問題ありません。
上記のELG株式会社に電話でお問い合わせをすれば、最寄りのガス販売店を案内してもらうことができます。
STEP3 キッチンカー(移動販売)のガス設備を点検してもらい準備完了
充填してもらう際に、担当者による設備の点検をしてもらうことができます。
ガス漏れ等がないことが確認できたら、準備完了です。
キッチンカー(移動販売)で使うプロパンガスの料金
販売店によって異なる
プロパンガスの料金は販売店が自由に決めているため、販売店によって販売価格は異なります。
事前に電話などで料金を確認するようにしましょう。
プロパンガスの料金体系は「ガスボンベ代+ガス料金」
プロパンガスの場合、まずはじめにボンベを購入する費用として約13,000円程度かかります。これは初回1回のみで、その後は10年程度、使用することができます。
その上で、ガスを使用した分だけ、充填してもらう際にガス料金がかかります。
目安としては1kgあたり440円~900円
ガス料金おおよその料金の目安としては、1kgあたり440円~900円となります。
1回で充填する量によって料金は異なります。
2kg容器に充填:約1,800円(約900円/kg)
5kg容器に充填:約2,800円(約560円/kg)
8kg容器に充填:約3,500円(約440円/kg)
10kg容器に充填:約4,400円(約440円/kg)
たくさん充填するほど単価は安くなります。
キッチンカー(移動販売)で使う量を考慮すると、最低でも5kg以上のボンベに充填してもらうのがおすすめです。
キッチンカー(移動販売)でのプロパンガスの設置方法
火気から距離を取る
まずはコンロやフライヤーなどの熱源から十分に距離を取ってガスボンベを設置するようにしましょう。
縦向きで設置し、ロープや鎖で固定する
プロパンガスボンベは、必ず縦向きで設置するようにしましょう。斜めや横向きは厳禁です。
その上で走行中の振動や地震で倒れないようにロープや鎖を使ってしっかりと固定します。
ホース類を確実に取り付ける
ガスホース類は確実に取り付けることが重要です。
万が一、ガス漏れ等を起こしていると大規模な事故に繋がりかねませんので、ここは安全第一を考えましょう。
ガス充填時に、担当者が全体を点検
ガス充填時に、担当者に機器全体を確認してもらうのがオススメです。
ホース類の接続は適切か、設置場所は問題ないか、ガス漏れ等がないか、プロの目で確認してもらうと安心です。
夏場の車内放置は厳禁
夏場など車内温度が40度以上になる場合、ボンベを車内に放置するのは危険です。
イベントなどで出店する際には必ず社外に置くようにしてください。
キッチンカーを使っていない日は、必ず冷暗所に移動して保管するようにしましょう。
消化器を常備する
出店する際には消防法により消化器の常備が義務付けられています。
地域によっては、消化器の大きさが指定されている場合もあります。必ず事前に確認するようにしてください。
キッチンカー(移動販売)でのプロパンガスの使用可能時間
プロパンガスを実際に使った場合の使用可能時間についても気になるところですよね。
使う調理器具や季節によっても異なるものの、5kgのガスボンベの場合、1日6時間使ったとして3~4日使うことができます。
気温が低い季節や、火力の強い機器を使った場合はさらに短くなります。途中でなくなると調理ができなくなるため、予備のガスボンベを持っておくと安心ですね。
キッチンカー(移動販売)でプロパンガスを使う際の注意点
緊急時に、販売店から30分以内で駆けつけられるエリア限定
キッチンカー(移動販売)でプロパンガスを使う場合、法令で「緊急時発生から原則30分圏内で急行できる範囲に限って販売する」と定められています。
つまり、ガス販売店から30分以内で駆けつけられるエリアでのみ出店できるということです。
各地域によって、販売店がある場所は異なりますので、
- 販売店はどこにあるのか?
- 30分以内に駆けつけられるエリアはどこなのか?
について事前に確認しておくようにしましょう。
車両で運搬できるのはプロパンガスボンベ10kg×2本まで
車両で持ち運ぶことができるプロパンガスの量も法令で定められています。
キッチンカー(移動販売車)を含む一般車両で運搬できるのは、プロパンガスボンベ10キロ×2本までとされています。
この範囲内に収まる場合は「高圧ガス」の警戒標を掲げる必要はありません。
3年ごと(または5年ごと)にガスボンベの耐圧検査が必要
1度設置したら終わりではなく、3年~5年ごとにガスボンベの耐圧検査を受けることが義務付けられています。
期限が近づくとガス会社から連絡がありますが、ここはやはり安全上、重要な意味を持つので、完全に業者任せにするのではなく自分でも意識しておくことが大切です。
ここで不具合が見つかった場合は交換が必要となります。合格したらさらに3~5年、使用期限が延長されます。
キッチンカー(移動販売)のプロパンガスをレンタルする方法
使用回数が少ない場合はレンタルも便利
もしプロパンガスを使いたいけれど、自分の調理スタイルに適しているかどうかわからない・・・
電気とガス、どちらがいいかわからない・・・
という場合は、まずはレンタルという手もアリです。
ガスと電気どちらがよいのか、実際に使ってみないとわからないこともありますよね。
数日程度の短い期間なら、機材一式を購入するよりレンタルのほうが安上がりです。
また、ガス会社の担当者が設置から片付けまでを行ってくれるので手間もかかりません。
プロパンガスをレンタルする際の注意点
レンタルの場合、ガスを使える場所はレンタル会社から半径5~10キロ圏内と限定されています。
またハイシーズンはレンタル機器がすべて出払ってしまうこともあります。
レンタルすることが決まったら、できるだけ早いタイミング(理想は2~3週間前)でレンタル会社に予約を入れることがオススメです。
キッチンカー(移動販売)でプロパンガス以外で調理する方法
さて、ここまででキッチンカー(移動販売)でプロパンガスを使う方法について解説しましたが、火力が強く便利な半面、安全面などで気を遣うことも多いのも事実。
ですからプロパンガスでなければ調理が成り立たない場合を除き、それ以外の調理方法も視野に入れておくとよいでしょう。
カセットコンロ
簡単な加熱だけなら、カセットコンロで代用する手もあります。
冬場など、気温が低くなるとよりガスを消費してしまうものの、大掛かりなガス機器を導入しなくて済むのはメリットと言えるでしょう。
電気調理器具
IHや電気フライヤー、電気クレープ機など、電気で調理されている方も多くいます。
この場合、電力容量が一般的な1500Wでは足りなくなりますが、1500Wの電源を2系統設置して合計3000W使えるようにするといった工夫で対処できます。
電力容量さえ足りるように製作すれば、ガスよりも安全で、なおかつ省スペースで、法令による規制もないため非常に便利です。
【まとめ】キッチンカー(移動販売)でプロパンガスを使うなら安全面に留意して設置しよう
いかがでしたでしょうか?
プロパンガスは持ち運びができて、なおかつ熱量が高いため、キッチンカー(移動販売車)の熱源として普及しています。
高火力で一気に焼き上げた料理の美味しさは格別ですよね!
とはいえガスなので、必ず専門業者に設置を依頼するようにしましょう。
最寄りのガス会社に相談するようにしてください。
楽しいキッチンカーライフは安全あってのこと。
ぜひ正しい知識を得て、専門業者による正しい設置のもと、お客様に美味しい料理を提供するようにしてください。
※関連記事
キッチンカーで電源を確保するには?冷蔵庫はどうする?それぞれメリット・デメリットについて解説
【キッチンカー開業】必要な準備や進め方について13ステップで徹底解説【保存版】
キッチンカー(移動販売)でピザ屋を開業するには?搭載できるピザ窯は?成功の秘訣や注意点について解説
キッチンカー(移動販売)でプロパンガスを使うかどうか迷ったらALANBOXにご相談ください
キッチンカー製作販売店ALANBOX専門のキッチンカープランナーが、多数の先輩オーナーの事例をもとに「あなたにピッタリの1台」を企画・提案いたします!
ガスか電気、どちらを使えばいいかわからないときでもご相談ください。どちらを使うかで機器の形や大きさ、厨房のレイアウトも変わるので、アドバイスさせていただきます。
なお、3000Wの電力容量にも対応したキッチンカーの製作実績もありますので、電気で調理したい方もぜひご相談ください。
※なお当店では「ガス機器の設置」は施工できますが、ガス配管・ボンベの設置は規制上、行うことができません。専門業者への依頼をお願い致します。
お問合せはこちらからどうぞ。
■ウェブフォームでのお問合せ
メールでのご相談・お問合せはこちら→ご相談・お問合せ
■お電話でのお問合せ
電話番号:0771-22-6600
営業時間:10時〜17時(水・日 定休)
担当:長谷川まゆみ・神山玲子